社内公用語を英語にすると何が起こるか

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派遣プログラマ時代の思い出が反響いただいているようでありがとうございます。一応言っておくと、本当に経験した話です。書いてない話はあるけど書いてあることはだいたい本当。

ところで、そのラピュタですが、日本企業と外資がくっついて出来た職場だったので、公用語が英語でした。

スタッフの40%近くはインド人で、20%くらいそれ以外の国の人もいて、残りが日本人なので、英語ネイティブを無視して仕事はできない状況です。
日本人がほとんどの状態で「公用語を英語にします」と宣言してしまった会社とはだいぶ状況が異なるとは思うのですけど、英語が得意でもない日本人が英語で仕事することを求められたらみんなどうするかというのはやっぱり面白い気がするので、こっちも書いてみようと思います。

日常

公用語が英語といっても、別に社内で日本語を口にすることが禁止されているわけではありませんでした。お昼休みは、日本人同士で固まって食事に行くので、そういう場面での会話は日本語です。
他の国の人たちも、だいたい同じ国の人が固まることが多かったです。少数派の国の人たちは、余りっ子組みたいなのを作ってましたが。
自分、「これってもしかして英語力を上げるチャンスじゃね?」とか思ってインド人のみなさまと食事に行くことを試みたのですけど、相当難しいです。後述するように食べるものが違ってますし、彼らは彼らで食事の時くらい自分たちの言葉で雑談したがるので、居心地が悪くて、結局自分の会社のグループに戻ってきてしまいました。

メールについても、日本語と英語が半々くらい。ただし、公式な連絡(会議の通知とか)については、すべて英語でした。
正確に言うと、元が日本語のメールには必ず英訳がついてくるのに対して、英語のメールに日本語訳がついてくることは原則ない、という感じ。
公用語が英語なので、「英語のメールなので読み飛ばしていました」的ないいわけは許されないことになっています。
とはいえ、大学で掲示板を見てなくても友達経由で試験日程を知っている人がいたように、日本人の同僚が助けてくれるからボ~っとしていても何とかなっちゃう人は存在していました。

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会議について

会議は英語で行われます。ルールでそうなっているのもあるけど、会議のメンバーに日本語が分からない人がいるからそうならざるを得ない。
会議の進行役の人は、可能な限り英語で議論する場面は減らしたいから、一時間の会議に二時間くらいかけてアジェンダを作ります。半分くらいは使いそうな英語をチェックしておく時間だけど、結果的に議事録ドリブンな会議になったので、これはこれで有益だった気がします。

たまに日本人しかいない会議があると、とっとと日本語で片付けてしまうことは普通に行われていました。予定の半分くらいの時間で終わって、日本語で話したのに議事録だけが英語で残ります。

あと、会議中に話がややこしくなった場合、「ジャストアモーメントね」と話の流れを止めておいて、日本人同士が日本語で話をまとめてしまって、あとでそれを英語で説明するという裏技が普通に使われていました。

職場には、部署に一人か二人、英語のスペシャリストが雇われています。日本語で重要なメールが流れた場合に英語にして再送するのがメインのお仕事ですが、重要な会議の時には通訳みたいな形で入っていただくこともあるし、日本人が書いた英語ドキュメントのレビューをお願いしたりすることも出来ました。
ただし、100人以上のメンバーを一人で見ていますので、おいそれと仕事は頼めません。下っ端は自分で何とかするしかありませんでした。あ。でもたまに言い回しとかは教えてもらってた。

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ドキュメントについて

すべて英語で書くことが求められていました。日本語で書かれたものはメモであってドキュメントじゃないみたいな扱いです。
で、そんなこと言われたっていきなり英語のドキュメントなんてほいほい書けないので、みんなどうしていたかというと。

1.似たようなドキュメントをコピペする
過去のドキュメントは専用のリポジトリがあって、すべてそこから検索することが出来ました。
そこで、ここから自分の書きたいのと同じような内容のドキュメントを見つけてきて、コピーして、必要なところだけ直せば英語ドキュメントできあがりです。プログラマ同士、ER図とかクラス構成図は世界共通の概念ですから、案外これで実用的な文書ができあがっていました。

2.翻訳サイト
大枠はコピペできますけど、ある程度は英語の文章を書く必要がでてきます。また、英語の文書を読まないといけない場面はもっとたくさんあったので、翻訳サイトへのアクセスは相当多く行われていました。

ところが、こうやって翻訳される文書は、本来社外に出してはいけない書類とか、NDAを結んで入手したドキュメントもたくさん存在するので、それを社外の翻訳サイトにパカパカ貼り付けるのはどうなのよ、というのが問題になります。
そこで、社内に専用の翻訳ソフトサーバが導入され、今後WEB上にある翻訳ソフトは使わずに社内サーバを使うように、とのお達しが通達されます。
これが高いくせに全然使えないんだ・・・ろくな訳ができないことがでないことが知れ渡ると、こっそり社外の翻訳サイトを使う人が続出して、やがて社内サーバはほとんど誰も使わなくなりました。

#個人的には、名詞だけ置き換えて使えばそんなに問題にならないと思うんですけどね。
「Appleの新商品iMogyaの機能について」をそのままWEBに流すとまずいですけど、「Aの新商品Bの機能について」をWEBで訳して、AとBを元に戻せば、別に情報は流出しないですよね。

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飲み会

この職場、何が大変かというと、飲み会が大変でした。
米国では仕事が終わった後に飲み会なんて考えられないのですけど、日本の職場だし、日本に来ているインド人はたいてい独身だったので、打ち上げくらいは開催することが出来ました。
ただし、インド人の中には菜食主義者の方がたくさんおられます。肉を一切食べない人、ブタが駄目な人ウシが駄目な人、人によって様々。
この時点で、ほとんどの飲み屋さんは全滅します。白木屋とかありえない。

最初のうちは、菜食主義者の人用メニューを用意してもらったりもしていたのですけど、お店としても出せる料理がほとんどなくて困ったメニューになることが多かったので、やがて、宴会は豆腐料理専門店で行われるようになりました。
湯葉をつつきながらビールで乾杯。あ、たまにアルコールも駄目な人がいるので、湯葉を食べながらウーロン茶で乾杯する人たちもいた。

飲みながら英語をしゃべるのは、慣れたら出来るんですけど、豆腐で宴会盛り上がるのはたいそう難しかったです。あれ、今でもやっているのかなぁ・・・

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