[本] 実践!交渉学

「フットインザドア」とかの交渉じゃなくて、交渉がどういうものでどういう力学が働くのかといった解説をした本。無意識に実践しているような内容も多かったのですけど、体系的にまとまっているので思考を整理することができました。

読書メモ。

  • 「窓を開けたい」人と「窓を閉めたい」人が交渉する場合、そのままだと要求を突きつけあうだけで妥結の余地がない。けれども、「なぜ窓を開けたい/閉めたいのか」情報交換して「風が吹き付けるから寒い」「空気を入れ替えたい」という利害を明らかにすることで、両者の利害を満たす結論を出すことができる(「ここじゃなくて、むこうの窓を開けましょう!」)
  • 『BATNA』(不調時代替案)。交渉が破談になったとき取れる対応のこと。
    • たとえば中古ノートパソコンを友達から買う場合、最悪ヤフオクで買ってもいいのであれば、ヤフオクで買う場合の想定値段がBATNAになる。
    • 自分のBATNAを明かしてはならない。「ヤフオクで10万円だったからそれより安く」と言ってしまうと、たぶん9万8千円くらいで買うことになる。相手は5万円でもいいかな、と思っていたかもしれないのに!
    • 相手のBATNAを知っていれば有利に交渉ができる。友達が捨てるしかないと思っているのなら、一万円と申し出てもお得だと思ってくれるかもしれない。
  • 『ZOPA』(交渉可能領域)
    • お互いのBATNAを並べて譲りうる余地のこと。最低1万円で売りたいA君と、ヤフオクで買えば10万円で買えるB君の間では、1万円から10万円までの間がZOPAになる。
    • Aくんが20万円で売りたい場合は、ZOPAが消滅するので交渉の余地がなくなる
    • 「パレート最適」ZOPAの中で、お互いの利益が最大化する解の事(略)
  • この本の前半分がこんな感じの、1対1の交渉理論について書かれている。後半は、より複雑な、複数の人が絡んだ場合の交渉学。ビジネス上の交渉で使うことは少なそうだけれど、世の中なんでこんなことになっているかを理解するうえで面白かった。
    • WIN-WINってけっこう不公平だよね、という話
    • ステークホルダーを洗い出す重要性について
    • 合意形成について
    • マスコミの役割と、マスコミによっておきやすい問題について
    • 専門家が必要な交渉で何が起こるか、それに対する対処など