ホウレンソウに頼らないマネジメント

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Twitterのつぶやきを見ていたら、わりと常識に縛られないタイプの方なのに、「新人研修で覚えてもらうのはホウレンソウとプログラミングくらいかなぁ」的なことを言われていて。そういえばホウレンソウって必須でもなんでもないことは意外と知られていないなぁ、と思ったので書いてみる。

ホウレンソウに頼ったAくんの仕事の進め方

  • 9:00 業務開始。朝Mtgで、その日やることをみんなの前で発表。ぼく早くプログラム書き始めたいんだけどな…
  • 9:30頃 昨日の進捗報告に上司からツッコミが。詳細な説明を書いて返信する。
  • 10:00頃 ようやくプログラムを書き始める。
  • 12:00 お昼休み。
  • 13:00 再びプログラムを書き始める。
  • 14:00 今朝のメールに上司は納得しなかったらしく、呼び出された。状況を説明してようやく納得してもらう
  • 15:00 えーと。何してたんだっけ。あれ。このあと進捗会議か。
  • 15:00 さっき上司に説明したばっかりの状況をもう一回みんなに報告。みんな興味ないから聞いてないんだけどね。
  • 18:00 延々と関係のない人たちの状況を聞かされて、ようやく終了。晩御飯食べに行きますか。
  • 19:00 定時後はプログラミングの時間だ!
  • 22:30 今日の進捗をメールに書いてMLに投げる。メールボックスに届いている他のメンバーからの進捗報告は、興味が無いのでまとめてゴミ箱へ。

だいたいこんな感じかと思います。公平を期すため、3時からのラジオ体操とか、11時から健康診断に行かないといけないイベントは省きました。

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ホウレンソウに頼らないBくんの仕事の進め方

  • 9:00 業務開始。昨日思いついたアルゴリズムを猛然と書きはじめる。
  • 9:30頃 マネージャさんが後ろを通った気がしたけど、猛然とプログラムを書いていたら通りすぎていった。用事があればまた来るでしょ。
  • 12:00 お昼休み。
  • 13:00 再びプログラムを書き始める。
  • 14:00 マネージャさんが後ろから覗いた気がしたけど、猛然とプログラムを書いていたら去っていった。用事があればまた来るでしょ。
  • 15:00 一休みしていたら、マネージャさんが走ってきた。手が空くのを待っていたらしい。
    「様子はどう?」と聞かれたので、進捗を説明。納得の行かないところにはツッコミが入るけど、説明したら納得してくれた。1vs1の会話だから、所要時間は15分もあれば十分
  • 15:30 再びプログラムを書き始める。
  • 18:00 仕事終わり。スポーツジムによって帰ろう!

かっこ良く定時で仕事を終えていますが、プログラムを書いている時間はAもBも7.5hです。Bくんが超高速で仕事を終えているわけではありません。

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進捗の把握は誰の仕事?

じつは、AもBも自分が経験したことのある仕事です。Bは夢物語だったわけじゃなくて、実際にそういうふうに仕事をしていました。ラピュタは本当にあったんだ!(海の向こうに)

  • Aでは、進捗を報告するのがメンバーの責務になっています。Bでは、進捗を把握するのはマネージャさんの仕事です。だってマネージャってマネジメントする人でしょ?
  • 進捗会議で全員の時間を束縛するより、1vs1を繰り返したほうが、進捗把握に係る工数は少なくなります。わかりきっているところはカットできるし、わからないところはその場で聞き返せるので、マネージャさんの理解度も高いです。
  • 進捗を把握するのはマネージャさんの仕事であってメンバーの仕事ではないので、マネージャさんはメンバーの仕事を邪魔しないように、忙しくなさそうな時間を見計らって進捗を聞きに行きます。「忙しいところ悪いけど、進捗を聞かせてもらえるかな?」
    とはいえ、マネージャとメンバーは同じ目標に向かって進むチームなので、メンバーも可能な限りマネージャさんがヒアリングしやすいように協力しますけどね。
  • Bの問題は、マネージャさんが異常に忙しいことです。メンバーが日報を書かなくていいのも、進捗会議に出席しなくてもいいのも、マネージャさんが進捗を聞いて回っているからこそです。
    マネージャさんは大変ですけど、メンバーより多くお給料が出ているんだから、メンバーよりたくさん働くのはとても正しい姿ですよね。

メンバーはお互いの仕事の進捗を知らなくて、マネージャさんだけが全ての進捗を把握することになるので、誰かがコケたときに他の人がカバーすることはできません。
各人の責任範囲が明確で、メンバーの役割がはっきりしている欧米型の仕事の進め方だからこそやれるやり方なのだと思います。
でも、ここで書いたのは、実際にぼくがメンバーとして働いたことのある体験談なので、これで仕事が回っている職場が実在します。というか、日本以外で働いたときはたいていこのやり方でした。

日本式に、メンバーが状況を報告したり、やばい時に自発的に動く能力を持っていることは、別に悪いことではないです。やばい時に自発的にアラーム上げてくれたら、マネージャさんは進捗を聞いてまわる頻度を下げることができるし、メンバーの報告だって下手であるよりは上手なほうが嬉しいに決まってます。
でも、そうじゃないと仕事が回らない状態が常識だと思っているとしたら、世の中そうじゃないやり方もあるんだよ、という話も知っておいていただけると嬉しいです。

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