Re:ボランティア

スターロジックの羽生さんというと、学生時代にnifty-serveのフォーラムで大変お世話になっておりました。勝手に議論を挑んで負け続けていただけとも言いますがw

自分が思うところについてものすごく深く考えておられる方なので、外から議論を挑んでも必ずこの人のフィールドに引っ張り込まれて絶対に勝てなくなっちゃうのです。懐かしいなぁ。

で、その羽生さんがボランティア活動(オープンソース活動)について語っていて、その話がとても興味深かったです。

何故かというと、給料が出ているから出来ることであって、仮に売上がゼロであればそのような悠長なことは言ってられないからです。乱暴なことをいえば「そんなことをしている会社には支払いはしない!」とお客様に言われたらどうなるのかということです。

(株式会社スターロジックの羽生章洋が書いてるブログ:ボランティア – livedoor Blog(ブログ))

 どうなるのかって、どうもなりません。

 人月いくらでお客様にエンジニア派遣しているのならともかく、何らかの成果物に対してお金を払っていただいている以上、成果物をどんな時間配分で開発しようと、それは自社の自由です。

 「ボランティア活動に使っている分をケチったら安くできるでしょ」と言われたのであれば、「じゃあウチじゃなくてそういう会社に頼んでください」と言えるだけの価値を提供してないといけないのです。

….いや、してなくてもいいのですけど、そうすると会社は常に価格競争ですから、その状態で社員のボランティア活動に理解を示すのは難しいかもしれないですね。

ともあれ、ここまでは羽生さんも記事に書かれているとおりだと思います。

ボクとしては、ボランティア活動は「自分のやりたいこと」に置き換えられると思っていて、結局この命題は、どうやってお金を稼ぎつつ、自分のやりたいことをやるかに帰着すると思っています。で、ボクがどうしているのか、どうするつもりなのか、ボクなりの答案です。


 自分は、お客さんと契約するときにこう言っています。

「自分の提供する価値がお値段に見合わないと思ったらそう言ってください。改善を試みますから。

でも、それでも納得がいかないと思ったら、そのときは無理をせずに契約を切ってください。」



 これは、いきなり切るのは勘弁してください、というお願いでもあるのですが^^;

同時に、改善を考えるのはボクです、という宣言でもあります。

 お客様にお願いするのは、「納得いかん」と事情を説明していただくところまで。

ご不満に対して作業のやり方を変えるのか、他のお仕事やボランティア活動を縮小して時間をつっこむのか、それを考えるのはボクの役割です。

お客様が改善結果に納得できないときは、改善方法について口出しするのではなくて、契約を切ってください、という宣言です。

 会社員でいた頃は、ここまで言い切ることができませんでした。会社に納得してもらえる成果を出せなかったら上司の指導をいただいて改善せざるを得ませんでしたし、時には、べつに成果に問題が無くても、お客様のご要望とやらで非効率な作業の仕方を受け入れざるを得ないときもありました。

#具体的には、機密保持のためにWEBサイトは一切見ちゃ駄目とかですね。



 もちろん、有用な指導をたくさんいただきましたし、そこで学んだことがなかったら今の自分がなかったのも事実です。

 でも、そういう指導をいただく見返りに、自分が効率的と思えない作業の仕方も受け入れないといけない関係に疲れてしまったので、本当にそうしないといけないの?眠かったらお昼寝する仕事のやり方は本当に社会に受け入れられないの?というのを試す意味で、会社を辞めてフリーランスになりました。


 あれ。話がずれた。そういうわけで、ごく単純に「自分の提供する物に見合う価値がないと思ったら契約切ってください」という原則に立ち返ると、ボランティアだろうとお客様のための開発だろうと、位置づけは同じだと思うのです。

もっと言うと、ヨメと過ごす時間も子供(いませんけど)と過ごす時間も一緒。自分という有限のリソースをどこにどれだけ配分するのが一番幸せになれるか、その配分について、関係者の要望を聞くことはあっても最後に決断するのは自分です。



 そうなっていないとしたら、そのことが問題で、自分は会社にいる限りこの矛盾が解決できないと思ったので、会社を辞めて、自分でリソース配分のできる立場になることにしました。

 以上、ボクの答案です。



 本当は、(お客様:会社)=(会社:社員)の置き換えが成立するはずなので、会社にいたってこの原則を貫けて良さそうなものなのですけど。肝心の「価値がないと思ったら契約切ってください」というのが、会社は簡単にクビを切れないせいで成立しなくなっています。この辺から、いろんな矛盾が生じているのかもしれないですね。