Amazonが導入するロボット倉庫の仕組み

Amazonが650億円掛けて導入する倉庫ロボットがすごいということで話題になっています。

すごいのはいいのですけど、動画貼って終わりの記事ばっかりで(みんなずるいよね!)、具体的に何をしているのかちっとも分からなかったので、がんばってヒアリングしてみました。想像以上に面白い仕組みだったので、説明します。

最初、ロボットが棚から商品を集めてくるのだと思っていたのですが、違いました。商品のある棚を従業員の所に持ってくるのです!

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オレンジ色のロボットが商品の載った棚を持ち上げて運びます。

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従業員の所に到着。

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天井のカメラから光が当たってピックアップする商品をお知らせ。
#動画をよーく見ると、左側のカップのあたりに光が点滅しているのが分かります。たぶん、天井のカメラで棚に貼ってある二次元バーコードを認識して照射しているのでしょう。

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従業員が指示された商品をピックアップしてバーコードを読ませると、役目を終えた棚(ロボット)は自動的に所定の位置に戻っていきます。
従業員は一歩も歩くことなく、次々にやってくる棚から商品をスキャンして箱に放り込むだけで、ユーザーの注文が完成していきます。

よく知られている話ですが、Amazonの倉庫はアルファベット順や商品順ではなくまったくランダムに配置されているので、似たような商品の一巻と二巻を取り違える、といった事件も起きません。
参考:これがアマゾン・コムの配送センターだ « WIRED.jp Archives

一方で、ロボットのほうもコンピュータの指示に従って棚を運ぶだけなので、商品を拾い集めるロボットを作るよりずっとシンプルなシステムにすることができます。
複雑なシステムにすると壊れた時の修理が大変になりがちですが、このシステムなら、同じロボットがたくさんいるだけなので、壊れた機体は修理送りにして予備のロボットを投入すれば簡単に復旧させることができます。
こういうロボットが1000台程度、バスケットボールコート数個分の倉庫を走り回るのだそうです。

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なお、ロボットは必ずしも棚を元の位置に返すとは限らなくて、よく売れている商品が多い棚は近くに、あまり売れていない商品が多い棚は遠くに戻すことで出荷効率を改善するようになっています。
商品一個入れるたびに巨大な棚を持ち歩くのは燃費が悪そうですけど、こういう工夫によって補われているのでしょうね。

参考記事

2012-03-21 10:45:24追記
このロボット、Kiva Systemsっていう米国のベンチャー企業の物だったのですが、Amazonが買収することが決定したそうです。さすが。
Amazon、ロボットメーカーのKiva Systemsを7億7500万ドルで買収 – ITmedia ニュース

「世界を変えた6つの飲み物 – ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史」

最近読んで面白かった本の話。世界を変えた6つの飲み物 – ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、紅茶、コーラが語るもうひとつの歴史

ビールやワイン、蒸留酒、コーヒー紅茶にコーラまで、その飲み物がどうやって開発されて、なぜヒットしたのか、社会にどんな影響を与えたのか、といった具合に、飲み物を通して歴史を語った本です。

beer

例えば、古代メソポタミアで最初に一般化したアルコールはビールでした。
なぜかというと、穀物を水につけておけば勝手に出来上がったから。穀物を水につけておくと麦芽糖ができて甘くなります。これが空気中の酵母と偶然触れ合ってアルコールに変化したのです。
原理的には果物とか蜂蜜でも可能なはずだったのですが、当時穀物はたくさんあったので、人類はこの偶然に改良を繰り返してビールを造る方法を学習しました。

7000年くらい経って都市が成立すると、ビールは一種の通貨として使われるようになります。エジプトでピラミッド建築の労働者が一日働くと、パン3-4斤と4リットルのビールがもらえたのだそうです。
必需品だから誰でもほしがるし、たくさん蓄えておいて公平に分け与えることができるので、通貨としては便利だったのですね。

このあと出てくるワインとも共通する話なのですけど、アルコールはそれ自体が殺菌作用を持つし、製造過程で沸騰したりしているので、かなり長い間、下手な水より安全な飲み物でした。
そういうわけで、ギリシャ時代ローマ時代の間に、食事の時にはビールやワインを飲む習慣が一般化します。
古代ギリシャでは、神官といえども朝食から(!)ワインを飲んでいたので、ちゃんと仕事ができる状態に戻るのに時間がかかって苦労していたのだそうです。17世紀になって、アラビア生まれのコーヒーがヒットしたのは、酔っぱらわなくてもいい食事時の飲み物、という理由だったのだとか。

西ヨーロッパは、数世紀の間立ちこめていたアルコール性のもやのなかからようやく抜け出した。「このコーヒーという飲み物のおかげで」と1660年にあるイギリス人が書いている。
「諸国において、節酒の傾向がよりいっそう進んでいる。徒弟や助手らはかつて、朝にエール、ビール、ワインなど、脳にめまいを起こさせるものを飲んでいたため、多くのものは仕事に適さない状態だった。
だが彼らは今や、この目を醒ましてくれる文明的な飲み物のおかげで、まともに勤められるようになっている。」

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一方お茶は、もともと中国で飲まれていた飲み物だったのですが、これも大航海時代にヨーロッパに渡って大ヒットしました。
とはいえ当時中国の技術力は圧倒的で、ヨーロッパの品物なんてあんまりほしい物がないよね、という状態。しょうがないのでヨーロッパ側は代金として銀を支払っていたのですけど、貴金属は限りがあるのでそうそう出せるものではありません。
あんまりにも高いので、「なんか安いお茶はない?」ということで輸入されたのが、うっかり放置して酸化させちゃった茶葉からできた安物のお茶「紅茶」だったのだそうです。
イギリスでは、苦い紅茶をおいしく飲むために牛乳を入れて飲むアイデアが発明されました。

ちなみに同じ頃日本では、高級品の茶を飲む作法にこだわった結果、世界に類を見ないほど複雑な「茶道」が生まれました。あんまり合理的じゃないところにこだわって、意味は分からないけどなんだか凄いものを作ってしまう国民性は、この頃から変わってないのかもしれないですね。

[Titanium]WebViewの遷移先を横取りする

最近まーったくTiを触れていないのですが。書くと役立ちそうな話題を見かけたのでちょっとだけ。

WebViewを利用したアプリケーションの場合によくあるのが、
特定のドメイン(URL)じゃないページへ遷移する場合は、通常のブラウザアプリ(Safari等)で開く
という要件です。
Ti.UI.WebView で、遷移先(遷移しようとしている)URLを知りたい ~ ‘beforeload’ イベントで url が反映されない件 #titaniumjp #titanium – harukazepcの日記

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