はじめに
孫正義さん×佐々木俊尚さんの『光の道』対談を見ました。孫さんのプレゼンは、本当に素晴らしかったと思います。
けれども、「でもやっぱり、日本のインターネットが回線だけで改善できるとは思えないよね」「規制改革とか、そういうのだって必要なんじゃないの?」といっている人がまだまだいるみたいです。
自分も、孫さんのプレゼンを見るまでは、「回線だけ引いたって仕方ないでしょ?」と思っていたのですけれど、プレゼンを見て考えが変わりました。『光の道』構想を孫さんのプレゼン通りに実現できたなら、それだけで世の中は十分大きく化ける可能性があります。
実は回線だけじゃない孫さんの提案
孫さんの提案を、家庭まで光回線を引くことだと思っている人が多いですけど、実は提案の中には、もっとすごい話が含まれています。
孫「宅内のアダプターには、Wi-Fiチップセットも入れる。うち壁からWi-Fiが吹いていて、公的サービスである電子教科書、電子カルテは無償で端末を渡し、通信代も無償。」 #hikari_road
posted at 20:24:45
光回線を家庭まで引いた時、家庭の壁部分では、光回線をLANケーブルに置き換える装置が必要になります。このアダプタに、ついでに無線LANの親機も搭載して、いろんな機器が無線LANでインターネットにつながるようにしようよ、ということです。
これってすごい話です。だって、これが実現すると、日本全国すべての家庭がインターネットにつながって、みんな同じ手順で機器をインターネットにつなぐことが出来るようになります。インターネット最大の問題と言ってもいい「そもそもつなぐのが難しい」という問題が一気に解決しちゃうのです。
孫さんの提案、「光の道」と言っていますけど、実は、すべての家庭にインターネットを引く提案なのです。
インターネットにつないでもらうための苦労
例えば任天堂は、Wiiをインターネットに接続してもらうために、専用サイトを用意しています。
この画面、有線か無線を選ぶと、それぞれ3通りに説明が分岐して、かれこれ9パターン、ブロードバンドがない場合も入れると10パターン以上の説明に分岐しています。
今のように、家庭のインターネット環境がみんなばらばらだと、一つ一つのケースに場合分けして説明しないといけないから、どうがんばったって説明は難解になってしまうのです。
孫さんの提案が実現すると、この状況が一変します。例えばこんなふうになるでしょう(WPS規格を想定しています)。
- Wiiのインターネット接続画面で「登録」を押します
- 無線LAN親機の「登録」ボタンを押します
- 「登録が完了しました」と出たら完了です!
インターネットにつなぐ手順は、日本全国共通、ボタン二回。どの家でも同じ手順でインターネットに接続することが出来ます。日本全国共通にするのだったら、ボタンのデザインも統一できますから、「壁についている赤いボタンを押します」というような、よりわかりやすい説明も出来るかもしれません。
全家庭共通インターネットが導くコンテンツ
もちろん、この簡単接続の恩恵はWiiに限りません。テレビもビデオも、デジタルフォトフレームも、みんな同じ手順でインターネットにつながるようになります。
すべての家庭に無線LAN接続があることが保証されると、今ある機器だけじゃなくて、もっと他の機器もインターネットにつながる可能性が出てきます。玄関のインターフォンは、今はまだ電線でつないでいますけど、家庭に無線LANがあることが保証できるのだったら、無線LAN接続に置き換えることが出来ます。親機と子機を直接つなぐ必要がなくなるので、今よりずっと取り付けが簡単になります。留守中に来客が来たら写真を携帯にメールしたりする機能もきっと搭載されるでしょう。
外出先から子供やペットの様子を見張るWEBカメラは、今でもそれなりに売れていますけど、接続方法が簡単になるので、もっともっと普及が期待できます。
携帯電話から操作できるビデオやエアコン、無限に写真の撮れるデジタルカメラ、うはぁ、夢ひろがりんぐ♪
まとめ
電子カルテとか電子投票を実現するためには、法律も変えないと行けない、仕事のやり方も変えないと行けない、回線を引くだけじゃあダメで、もっとやらなきゃ行けないことがあるだろう、というのはまったくその通りです。
でも、上で書いたようなことは、そこまでしなくても、ただインターネット接続が簡単になるだけで実現できる話です。
留守中の来客は携帯電話に通知される。デジタルカメラで子供の写真を撮ったらおじいちゃんの家まで自動で届く。外出先から、携帯電話でエアコンをつけたり消したりできる。これだけ出来れば、十分夢の未来だと思うのですけど、いかがでしょう?